カバーソングで楽しむ

アーティストにとってアルバムにカバー曲を収録する意味とは何かを考えると、『自分はこんな人に影響を受けたよ~』とか『俺らの音楽にマッチしてね?』とか、こうした場合だとカバー曲への敬意も感じられてアレンジとか演奏も本気度が違うわけですが、中には『遊び?』みたいな感じで場違いな選曲をして原曲を木っ端微塵にぶち壊しているカバーも多々見受けられますね。

 

好きなアーティストのカバー曲集のアルバムだったら買ってしまうかもしれませんが、通常のアルバムに収録されているカバー曲を目当てに買う事は普通はないかと思います。

そんな、普通はあまり陽の目の当たらないカバー曲にスポットを当てて、今回は変わったカバー&秀逸カバーを紹介してみようかと思います。

 

まず、The Rolling Stonesの名曲の中でカバーされまくってる曲Paint It Black
ここではThe Black Dahlia Murder版を紹介します。

原曲をデスメタル化させたため、もはや原型をとどめておりません(笑。
しかし、そのハイスピード&カオスっぷりで、異様にカッコいい仕上がり。
The Agony Scene版も捨て難いところだが、こちらが一番かな。

 

こちらも、何故かカバーの多いMichael SembelloのManiac
往年のディスコ・フリークには馴染みの曲でしょう。
この曲のカバーで一押しは、Firewind版。

オリジナルに忠実にも関わらず、ガスGがギター弾くとこんなにも変わるのか!
Evergreen Terrace版やDark Sky版も捨て難いところだが、ガスG効果でこちらに軍配。
ただどのカバーもオリジナルに忠実ですね。

 

Bon JoviのYou Give Love A Bad NameをカバーしたのはAtreyu

演奏は原曲に忠実なんですが、voが変わるとここまで笑えるものなのか。

グロウルで吐き捨てられてますがな(笑。

彼らの音楽性からすれば分からなくもないカバーなんですが…

voメロディはほとんど破壊されて跡形もありません。

 

Bon Joviのカバーと言えば実はこちらが最強&最狂かも。

フィンランドのメロデス・バンドBlind StareRunaway

微妙なkeyの音色からスタートして、voは意外や意外クリーンでした。

…と思ったら、ブリッジから先はデス声(笑。

クリーンvoと高低のデス声を使い分けてカバーしてます。そこがメロデス・バンド。

ちなみに、このカバーはオフィシャルサイトでダウンロード可能です。他にも唯一のアルバム(2005年の発売だから、あれから4年か…)Symphony Of Delusionsの中の1曲をダウンロード可能。

Blind Stare.net

…カバーなんてしてないで、早く新作出せよ。

 

Depeche ModeのPersonal JesusをカバーしたのはMarilyn Manson

PVはキモイですが、カバーはマトモもマトモ、原曲に非常に忠実です。というか、ある意味これは必然のカバーだったのだろうと納得するほどバンドにピッタリとハマっています。

このvoはあまり好きじゃないんですが、この曲の雰囲気には合っていますね。

 

ちなみに、彼らのカバーではこちらが最狂かと…

Nine Inch Nailsと一緒にカバーした、MadonnaのLike A Virgin

もう、聴く前にどんな感じかも想像がついてしまう恐ろしさ。更にその期待(?)を裏切らないショーマンシップを発揮してます。

オドロオドロしいです。はっきり言って怖いです。

もはや、原曲のハッピーなダンスポップな印象は存在しません。

何やら妖し気な呪文のようだ…

 

Madonnaと言えば、Twilight GuardiansがカバーしたLa Isla Bonitaは秀逸ですよ。

遊びとは言えない全力カバー。

原曲にあるスパニッシュなグルーヴ感はそのままに、ある程度メタリックにアレンジしつつ楽曲本来の持ち味を壊さないカバーです。

 

Alphavilleの知る人ぞ知る名曲Big In Japan
こんな曲をシンフォ・ブラックのEmbracedが素敵にカバー。

vo以外は原曲に忠実とも言えますが、サビで一変。ツーバス乱打で疾走(笑。

サビだけで言えば、オリジナルよりも数倍カッコ良くなってます。

 

 

さて、ここからが本当のオススメ・カバーソング集です♪

 

RaintimeBeat It。もちろん、言わずと知れたMichael Jacksonの名曲です。

オリジナルに忠実どころか普通に完全コピーなんですが、演奏がちょこっとハードになってvoがクリーンvo&一部デス声ってだけでここまで格好良くなるとは驚きです。

原曲自体がかなりロックしてましたけどね。

2007年発売の"Flies & Lies"に収録されていますが、アルバム自体もオススメ盤ですので是非♪

 

Sonata Arcticaがカバーしたのは、ScorpionsのStill Loving You

そもそもはバラードの原曲。ソナタ版も出だしからは原曲に忠実にカバーしてるんですが、途中からの哀愁味溢れた疾走アレンジは度肝を抜かれます。
たぶん、原曲を知らない人はSonata Arcticaのオリジナルだと思って疑わないんじゃないかという、バンドのカラーを上手く生かした好アレンジ。
ミニアルバムTakatalviに収録されていますので是非。

 

メロデス界のカバー番長ことGraveworm

アルバムが発売される度にどんなカバーが収録されるのかワクワク・ドキドキ。

Bonnie Tylerの名曲Holding Out For A Heroは、原曲に比較的忠実でありながらメロデスっぽさを注入してカバー。Pet Shop BoysのIt's A Sinは原曲を完全に破壊して、Graveworm流に再構築。あまりの壊れっぷりに、原曲を知っている人ですらカバーだと気づかないことも…(←俺(笑))

その中でも最も秀逸なのがR.E.M.の名曲Losing My Religionのカバー。

オリジナルの哀愁感を残しつつメロデス化。無理に疾走させたりせず、ミドルテンポで叙情性を強調。voはデス声ですが、なぜかそれがピッタリとハマっている。

Gravewormは本当にカバーが上手い。

カバーソング集を発売してくれたら絶対に買う!

…てか、レコード会社企画してくれないかなぁ。

 

その筋では有名な、DragonlandがカバーしたX JapanのRusty Nail

このカバーの凄まじいところは、何と原曲に忠実に…という気持ちが行き過ぎたのかどうか、日本語でカバーという事です。もう、とにかく原曲にトコトン忠実です。

ただし、日本語の難しさは相当なもののようで…

何だか『鼻がつまった風邪っぴきの人』みたいな声です。『あなたを忘れられるだろう~』の部分が、どう聴いても『あららをわでゅれられるだる~』に聴こえます。

海外アーティストの邦楽カバーで今後も最強の座に君臨するでしょう。
日本語い関しても、相当がんばってる方だと思います。

演奏自体は、プロデュースの差が出たかな、という感じ。原曲はポップスのような感じでしたが、こちらの方がよりメタルっぽく聞こえます。特にGとDrがハードになってますね。

 

Dragonlandと同じくX Japanの曲をカバーしたのが、アルゼンチンのAuvernia

曲はBlue Blood

ボーナストラックでありながら、その筋では本編よりも話題になってたりするという、バンドとしては微妙な評価のされ方だろうな、きっと。

Dragonlandに負けじと(って、争ってないか(笑))日本語で全力カバー(笑。どちらの日本語力に軍配を挙げるかと言われれば…どっちもどっちだ(爆。日本語ってすげぇ難しいんだろうな、と思わずにはいられない微妙な発音に、日本人すげぇ!と思う。

肝心の演奏はかなり忠実に再現してると思う。少なくとも、voと各楽器の演奏力はオリジナルを超えている。特に原曲に比べ、Drに安定感があるのがさすがテクニカル系バンド。
Movieは、最初の方だけAuvernia

 

邦楽カバーと言えば、日本が誇るメロディック・デスメタル・バンドのBlood Stain Child

衝撃のLuna Seaカバー。True Blueをデスメタル・バージョンでお届けします(笑。

上記のMovieは、オリジナルのPVにBlood Stain Childバージョンを載せたもの。

オリジナルの妖しい雰囲気が、何故か怪しい雰囲気に変化。

もし河村隆一の声がコレだったら絶対に売れてないな。

ちなみに、原曲を知ったのは、ブラステ版を聴いてから(遅っ!)

 

Blood Stain Childはこんなのもカバーしてます。

TRFのEz Do Dance。曲自体はオリジナルに比較的忠実ながら、voがデスだし(笑。

彼らの音楽性とマッチしているのは、True Blueより断然こちらだろう。

選曲に驚くだろうが、アルバムに収録されていて全く違和感を感じない。ある意味、凄いよ。

 

オマケ

ちょっと有名どころで、Marty Friedmanさんの"天城越え"

この人の邦楽カバーは特に珍しくもないですが、このカバーは秀逸&カッコイイですね!

しっかりと原曲のメロディを生かしながら叙情メタル化。

 

 

…というわけで、いろいろなカバーを紹介してきたわけですが、何かの冗談かと思う様なカバーもあれば、渾身の作品とも言えるカバーもあって、かなり奥の深い世界だというのが分かっていただけたと思います。たまには、変わったカバー目当てでアルバムを買ってみるのも一つの手かもしれません。

 

個人的にはGravewormにはカバー曲集を作ってほしい。選曲もアレンジも凄いので。

 

でわでわ

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