Divided Kingdom/Ravenface

UKブラックプール出身のエクストリームメタルバンド、2012年リリースの2ndアルバム。
前回1st時のレビューで未整備だったFacebookページはオフィシャルらしく整備されたが、myspaceに関しては前回同様に放置中。Facebookによると、バンド結成は2007年のことらしいですね。その後にEPと、2010年には1stアルバムをリリースするに至ったよう。現在もレーベル契約は無く、Amazon及びiTunesでのダウンロード販売を中心に、バンドが直販を行なっているようです(いわゆる自主制作)。
メンバーはギターの一人が脱退(?)して、現在シングルギター編成の4人となっている。

音楽性に関しては前作を正統に受け継いだ叙情系エクストリームメタル。
バンド自身は"メタルコア"を自称しているのだが、ハードコアを由来としたものはほとんど無く、強いて言えばノーマルvoとスクリームを併用していることとリズムとかリフ系の一部にメタルコアっぽいところも見えるかなぁという程度。大きな枠組でのポストハードコアと言えるかもしれないが、それよりはモダンなメロデス、あるいはモダンメタル、わかりやすく言うならメロディック・メタルにスクリームvoをフューチャーしたサウンドと言えるだろう。ブルータルな要素はスクリームvoのみで、そのスクリームvoを使ったパートですらブルータルどころかアグレッシブでさえない。部分的に疾走するパートはあるのだが、楽曲は基本ミドルで進行し、時にスピーディーに展開したりスローに落としたりと起伏や緩急の表現を重視している。
サウンドスタイル的には明らかにメロディック・メタル寄りで若干重く感じる程度。逆に、メロデス畑から見ればかなりマイルドな音像で、メタルコアがわから見ても柔らかめに感じるだろう。
このバンドの最大の特徴とも言えるのは叙情性で、それはある意味"メランコリー"とも言えるもので、それほど激しくないサウンドの中でメランコリック・パートによって落差を表現。ミドル中心にサビメロでテンポアップという王道的なスタイルの中に、スッと一気に引いていく静かなメランコリック・パートを配したことにより、ノッペリと淡白なサウンドになりがちな音楽性の中にアクセントを生み出している。
楽曲全体的に哀愁感が漂っているのは前作同様。これが無くなったらRavenfaceではない。
前作と比べて若干シンセの使用量が増加したように感じる。別にエレクトロコア化したわけではないが、時折デジタル感のあるサウンドが耳に入ってくる。ギターサウンドがメロディを作り上げてるスタイルは変わらないが、そこに若干のシンセが入ったことによって音に厚みやアクセントが加わったと思う。

このバンドは自身の立ち位置を完全に理解して、その良い部分を完璧に活かしきっている。
適度にモダンな楽曲の中に、これでもかと言わんばかりの哀愁感を投入。トレンドに乗ることもなく、ただひたすらRavenfaceなりのエクストリーム・メタルを追求する姿は非常に好感が持てる。
ローカルなインディーズバンドの自主制作盤ではあるが、多くのエクストリーム系メタルファンに聴いてほしい好盤だ。スクリームもすんなにキツめではないので、メロディック・メタルファンも要注目。

 

Divided Kingdom - Ravenface

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