Let The Future Tell The Truth/I Am Abomination

米国産ポストハードコアバンドの2012年リリース2ndアルバム。
1st制作時はGood Fight Musicの所属だったが、その後にレーベルを離脱、フリーな状態のままこの2ndアルバムをリリース。また、1st時はツインギター編成の5人組だったが、一時期ギタリストがもう一人加入してトリプルギター編成の6人状態へ移行。そこから、ヴォーカリストと新しく加入したギタリスト以外の全員が脱退(解雇なのか?)して、正式なメンバーは2人のままこの2ndアルバムを制作・リリース。

オリジナルのギタリスト二人が脱退してヴォーカリストとギタリスト1名という二人組になり、1st製作時のメンバーはvoのみという編成で"あの音楽性"は実現可能なのか超絶に不安視されていたのだが、周囲のそんな雑音はどこへやら、あの稀有なI Am Abominationサウンドは何の問題もなく復活してやってきた!
音楽性のベースはプログレッシブ・ポストハードコア。スクリームしないメタリック・スクリーモと言っていいかも。リフやリズム系にメタルコアっぽさは見られるけれどスクリームは全く無く、エモーショナルで時にソウルフルなクリーンvoで全編が歌われます。ヴォーカルスタイルもメタルコアとかポストハードコア畑というよりは、ハードロック系とかオルタネイティヴ・ロック畑から出てきたような力強いタイプの声質。
まず、1曲目の出だしで「まさかのエモコア化!?」と驚かされるが、それも本当に出だしから少しの間だけで、そこから先のギタープレイに勢いが乗ってからはI Am Abominationらしさが全開となるテクニカルさ。まぁ、1曲目は複雑なリフ&リズム系にエモくキャッチーなメロディをフューチャーして、テクニカルなギタープレイで味付けしたような楽曲。4・5曲目あたりが前作の作風をストレートに受け継いでますね。
アルバム全体で見れば4・5曲目のような前作直系のアグレッシブな疾走ナンバーは実は少数派で、本作の大勢を占めるのはミドルのヘヴィな楽曲。前作でもミドルの楽曲はそれなりにあったが、本作ではかなり重くハードな路線で攻めているように感じる。もちろん、その中にテクニカルなリフワークも組み込まれているし、獣王微塵に暴れまわるシュレッドギターも健在です。メンバーチェンジというかほぼメンバー全員の脱退という非常事態の後で一番懸念されていたのが、このシュレッドギター。これが無くなったらバンドとしての存在価値が無くなったであろうということは当のバンド自身も分かっていたと思うので、健在で何よりです。
気になるのは、シンセのフューチャー度が圧倒的に低い…というかほぼ無くなっていることですね。

プログレッシブ・ポストハードコアというか、ネオクラシカル・ポストハードコアと言ってもいいかな。前作同様に、イングヴェイがポストハードコア化したようなサウンド。シュラプネル系ですよね。
自己主張が激しいとかいう以上に、アホかと思うほど弾きまくっているギターがこのバンドの持ち味。それを否定したらこのバンド自体を否定しているのと同じ。だから、ギターをもっと抑えめになんて決して言ってはいけません! 逆に、更に弾きまくって楽曲を破壊するギリギリのところを楽しみたいところ。
ただ、もっとアグレッシブに疾走する曲が聞きたかったなぁ。

 

Let the Future Tell the Truth - I Am Abomination

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