To Our Forefathers/I Am Abomination

米国産ポストハードコアバンドの2010年リリース1stフルアルバム。
この1st時にはGood Fight Musicとのレーベル契約があったのだが、2013年現在はレーベルをドロップしフリーな状態。このアルバム制作時はツイン・ギターの5人編成で、その後にギタリストが更に加入してトリプルギター編成になったと思ったら、ヴォーカルと新加入のギタリストを残して全員脱退した。

音楽性は確かにポストハードコアと言えばそうなんだが、正しくはプログレッシブ・ポストハードコアと分類すべきサウンド。ヴォーカルに関してはノーマルvo一本でエモーショナルかつソウルフルに歌い上げており、スクリームは使われていない(一部…5曲目とか…、ゲストvoがスクリームしている場合あり)。リフやリズム系にポストハードコア/メタルコア系のカラーが見られそれによってヘヴィな感覚も押し出されているが、全体的なサウンドから見ればメロディ重視の音楽性ではある。バンド自身も公言しているがProtest The Heroからの影響は強く感じられ、Protest The Heroタイプの音楽性をノーマルvo一本で歌っているようだ。
このバンドを特徴付けている"プログレッシブ"という部分に関してはThis Or The Apocalypseほど変態的なリフワークを見せるわけではないが、それでもかなり複雑なリフやら変則リズムはあちらこちらで繰り出している。ただ、ポストハードコアの土俵上で変則リズムやリフを組み入れているので破綻はしておらず、表向きの楽曲展開は至って普通。複雑なリフワークをメロディアスに聴かせる手法は本当に上手いと思う。
ある意味変態的で異常とも言えるのはギタープレイ。リズムギターの繰り出すリフワークの複雑さは前述した通りだが、それ以上にリードギターの弾きまくりっぷりがハンパない。一度弾きまくりモードに入ると、ピロピロとタッピングやスウィープを駆使しまくってシュレッドの嵐。ギターソロパートはしっかりと用意されているにも関わらず、歌メロパートであろうが速弾きでメロディを作り上げてしまう荒業。その速弾きの中に当たり前のように変則的なテクニカルフレーズを織り交ぜる。ここまでのシュレッドギターを投入して楽曲が破綻しないのはメタル界でもイングヴェイ・マルムスティーンとこのバンドくらいのものだろう。
もう、凄いとか面白いとか言う以前に、アホかと思うくらいギタープレイが異常。
ギターに比べればオマケ以下でしかないけれどWe Came As Romans(ほど大々的ではないが)のようなシンセも出過ぎない程度に盛り込まれており、それが音に厚みを出したりアクセントになっていたりする。

プログレッシブ・ポストハードコアの看板に偽りのないテクニカルさを見せつける好盤。
This Or The Apocalypse、Protest The Heroあたりが好きなら即買いをオススメする。
ぶっちゃけ、イングヴェイ・マルムスティーンがポストハードコアバンドに加入したようなサウンドなので、自己主張の強いギタープレイが好きかどうかで好みが分かれるのかな、と思う。

 


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