Battle Sluts/Destroy Destroy Destroy

米国産メロディック・デスメタルバンドが2009年にリリースした2ndアルバム。

『大事なことなので二回言いました』的な三度繰り返す強烈なバンド名故に、大概の人はDestroy×3と略してしまうことで有名だが、音楽性の強烈さでも大きなインパクトを残したので知ってる人も多いはず。

2012年7月現在もバンドは存続しているらしいが真偽は不明。そもそも最初のEPを2003年に発表した後しばらく音沙汰もなく、2006年になって突如1stフルをリリース。それから再びライブやら休養やらで、2ndアルバムをリリースしたのが2009年という寡作さ。なので、突然の新作発表でも驚かないように。

 

音楽性はバカらしいほど大げさなバトルメタル路線。メタルコアバンドがヴァイキングメタルっぽくやってみました的なWoe Of Tyrantsとは違って、大真面目にメロデス的スタイルからヴァイキングメタルへアプローチしているのが本作。Amon Amarthがモダンになったというか、Children Of Bodomにヴァイキング要素をプラスしたというか、アメリカからこれほどのクサメロデスバンドが登場したことが驚異でもある。

サウンド的には扇情的なリフやリズムに勇壮なメロディを組み合わせた真っ当なバトルメタルスタイルだが、そこにシンフォニックなシンセを加えることで大仰でドラマチックなメロディック・デスメタルとして仕上げている。歌詞世界など、もはやRhapsody Of Fireでしかやらないようなファンタジック・スタイル。

デス声を使ってはいるがベースとなっているのはスピード/パワーメタル。デスメタリックなブルータリティはそれほど感じず、アグレッシブに突進・疾走する気持ちよい爽快感がある。アメリカのバンドだが、下手にメタルコア/デスコア/ハードコアのエッセンスを取り入れなかったのは正解。それでこそクサメロが生きる!

ギターはツイン編成で、リードは一時期ブルガリア(!)のデスメタルバンドと掛け持ち、リズムの方はThe Showdownでベースを弾いてたりDemon Hunter(2012~)にも在籍している経歴。それだけにテクニカルでメロディアスなフレーズが全編で乱舞状態。時折ツインリードっぽく弾きまくるパートもある。

 

Realm Of Ancient Shadows

緩めにスタートして徐々に盛り上がって、ヴォーカルインと同時に炸裂するパターンは実にヤバい。リフワークは勇壮だし、メロディは叙情的、バックのオーケストラ的シンセも大活躍してクサメロデス全開の楽曲。

中盤過ぎにシンセソロが入ってくるのもポイント高いかな。

 

Born Of Thunder

メロディといい展開といい、古くさいメロパワスタイルの楽曲。最初から最後までテンションを落とさずに疾走しているのが気持ちいい。バックのシンセもステキ。後半の長めのギターソロは聴き所の一つ。

 

The Winged Panther

イントロの女性コーラスからしてタダごとではないが、中盤過ぎに一度急激に落として女性ヴォーカルを入れてくるあたり、シンフォニック/メロデスファンのハートのつかみ所を心得てると感じたね(笑。

 

Rhapsody Of Fire的音楽世界をメロデススタイルで再現したら?…とか、Amon Amarthをパワーメタルスタイルで表現したら?…とか考えて、そういう音楽を求めている自分が認識出来たら即買いの一枚だ。

アメリカのバンドだが過度にモダナイズされておらず、適度にモダンメロデスを取り入れてバトルメタルを作り上げたのは凄いと思う。メロデス好きもパワメタ好きも同時に楽しめる良盤なのは間違いない。

 

Battle Sluts - Destroy Destroy Destroy

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