Black Earth/Arch Enemy

1996年発売、衝撃の1stアルバム。
衝撃とは言うものの、Carcassでの活躍ぶりを見たらこれぐらいのクオリティを期待するなという方が無理ってものだ。
メロデス第一世代、いわゆる創成期を知るメロデス・ファンのほとんどは体験してるだろうけど、Wages Of Sinあたりからの第二世代以降ファンは知らない…聴いてない人もいるのかなぁ。

 

伝説的名盤"Heartwork"のレコーディング後にCarcassを脱退したギタリストのMachael Amottが、Carnage時代からの友人Johan Liiva(vo)やIn Flamesにも参加経験のある元Eucharistのバカテク・ドラマーDaniel Erlandsson、更には実弟のChristopher Amottらと共にバンドを結成。それがArch Enemyとなるのだが、最初はただのプロジェクトでしかなかった。

自分にとっては、Machael Amott脱退以後のCarcass(要は5th)を考えると、本作は非常に思い入れの強い1枚で、Machael Amottのギター・フレーズの華麗さは言うに及ばず、それと同じくらいにDaniel Erlandssonが参加・加入していたのはインパクトが大きかった。
Eucharist、マジで凄かったし。どうしてIn Flamesほど話題にならなかったのか不思議なくらいで、惜しいバンドだったと思うよ。
あのドラミングはメロデス界最強と断言しよう。このDrがいなかったら、このArch Enemyの音楽性は実現出来なかったはずだ。まず何よりテクを誇示するわけでもなく裏方に徹しながらも、力強いドラミングと頻繁なテンポチェンジも難なくこなし、テクに裏打ちされた遊び心も見せ付ける。ブラストなんて、この人にとっちゃ遊び。実際、ブラストを使わなくてもこれだけブルータリティを表現できるのは凄い。絶対に手放しちゃいけないメンバーだよ。
もちろん、Machael Amottの叙情フレーズはこの1stでも際立っていて、とかく兄弟でのツインGの華麗さばかりに注目が集まっていたが、このバンドを土台で支えていた最重要メンバーはこのドラマーだったという事実は知っておいてもらいたいところ。

アルバムを重ねるごとに、シンプルでオーセンティックなメタル化していくArch Enemy。その中でこの1stは、Carcassっぽい複雑な構成の楽曲が多く、ブルータリティも満載で大好きなんだ。
まぁ、若さ故かテク依存の部分も多々あるんだが(笑。
音楽的路線としてはCarcassの3rdや4thをそのまま受け継いだ、メロディアスで纏まり感のある叙情デスメタルといったところ。
どちらかというと3rdの路線の方が強いのかもしれない。
違う部分は、変態的で複雑怪奇なリフをそれほど使ってないことと、ドラムが圧倒的に上手くなったことぐらいだ(笑。

個人的に1stの代表曲はBury Me An Angelだと思う。

この曲は、CarcassのHeartworkに対するArch Enemy…というか、アモットが『魂を引き継ぐ』という回答じゃないかと思うんだ。
イントロの構成、アグレッシブ→メロディアスへの転換なんか正に名曲の誉れ高いHeartwork的な色を濃く持っていると感じる。
しかし、中盤過ぎの叙情メロディはこちらの方が上だ。

 

2曲目のDark Insanity

このイントロでガッツポーズを決めた人は1万人くらいいるだろう。
かなりストレートでアグレッシブなスウェディッシュ系メロデス楽曲で、この後のArch Enemyの方向性が多分に含まれている。
代表曲とは言わないが、バンドを象徴する楽曲だ。

 

3曲目のEurekaは曲としては中の上だが、とにかくGソロが気持ちいいんだよね。中盤過ぎ、50秒くらいは弾きまくりだ。

 

5曲目のCosmic Retributionは1曲目と甲乙付け難い傑作。

イントロはメロデスっていうか、現在のデスラッシュっぽい。
でも、曲が進むにつれメロディアスになっていく。
いや、このメロディだけ聴いたらこの曲が最強だと思うよ。
中盤のルーズなGソロから、いきなり現れるフラメンコGのフレーズ、それから短めの早弾きパートへの展開も大好きなんだよね。

 

まず、現在のArch Enemy好きなら聴いておくべきアルバムだ。
2ndには間違っても手を出しちゃいけない(爆。
3rdに関してはこのバンドの最高傑作と言っても過言ではないが、現在のArch Enemyとの関連性で言ったら間違いなく1stだ。

今も昔も、『このアルバムに出会って良かった』と心底思うね。

 

2008.10.08初出

 

Black Earth - ARCH ENEMY

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