Duplicity/Silent Descent

イギリスのトランス系メロディック・デスメタルバンドの2008年リリース1stフル。

メンバーは7人もいて、ツインギター編成、シンセ奏者とは別にDJ&サンプリング担当のメンバーもいるという大所帯。メンバーチェンジも激しく、特にvoとベースとギターは何度もメンバーチェンジを繰り返して現メンバーとなっている。もはや、一体誰がオリジナルメンバーなのかも不明。

 

音楽性はトランス系メロディック・デスメタルバンドという言葉通り。メロデスといってもモダンメロデスの範疇にあるサウンドで、デス声フューチャー型のヘヴィメタルと言った方が早い。

こうした音楽性で真っ先に思いつくのが、日本が誇るトランス系メロデスの雄Blood Stain Childであるわけだが、ブラステとの比較で言うと最新作というより前作のMozaiqに近い。というか、そのまんま(笑。違いと言えば、クリーンvoの比率がSilent Descentの方が高く、ブラステが疾走感を持った楽曲が多いのに対してこちらはミドルテンポ中心の音楽性というくらい。このバンド、間違いなくブラステを知ってる。

というわけで、ブラステのMozaiqに激似ではあるんだが、別にそれを批判しようとは思わない。こうした音楽性がブラステがオリジナルってわけでもないし、何よりこのバンドにはこのバンドなりの個性やカッコ良さがある。そうじゃなきゃ、こうしてレビューしようとも思わない。

まず言えるのは、音楽的なベースがメロディック・デスメタルじゃない。メロディックなパートはIron Maidenだよね、これ。デス声を使ってはいるけど、基本は普通にヘヴィメタル。そこら辺はやっぱりUK。そうしたオーソドックスなメタルの面とグルーヴメタルっぽい面にトランス系のシンセを重ねて、デス声で味付けした感じ。時折メロデスらしいサウンドを聴かせたりはするものの、そうした部分は本当に少ない。

あとは、いかにもUKらしい哀愁感があるのはいいよね。ハッピーなダンス系トランスで押し通す楽曲は無いんです。どこか物悲しさを湛えたメロディが散りばめられてる。特にサビのメロディね。

 

何はなくとも、タイトルトラックの"Duplicity"

イントロからブラステ感バリバリのシンセ。疾走感もそれっぽいのに、本編はいきなりクリーンvoで物悲しく静かにスタート。で、デス声、すぐにまた静かに転調。けっこう起伏が激しい。デス声のパートはグルーヴメタルな感じですね。そこから、破壊力抜群のサビメロ炸裂!

トランス系のシンセではあるんだが、全体の雰囲気は哀愁のメロディック・メタルという楽曲。

 

アルバムのリーダーとトラックである"Anagram"

シンセはトランスっぽいけど、全体的にはグルーヴメタル系のノリ。クリーンvo比率が高い…というか、デス声はAメロデ使われるだけで他はバッキング扱い。なのでメロデスじゃないんだよね。この曲はやっぱり叙情的なサビメロがいいね。別にサビで盛り上がるわけじゃないんだけどね。

 

そして、ラストの"In The Skies"。8分半の大作です。

サビのメロディが強烈すぎる! 全体的にもどこかしら物悲しさを感じるんだけど、サビのメロディは正に"哀愁"ですね。5分あたりで一瞬フェードアウトしかけてエンディングかと思ったら、そこから一度転調。う〜ん、いい曲なんだけど、リフやメロディのバリエーションが少ないので、展開に起伏はあってもちょっと飽きる部分もある。こういう長尺な楽曲はもう少しメロディのバリエーションを増やさないと。

 

Blood Stain Childが好きなら安定的に楽しめる…かと思いきや、案外そうでもなかったりする。やっぱりミドル中心の楽曲構成というのと、リフにしてもメロディにしてもリピートさせるのが基本なので、かえって普通のトランス/レイヴ系が好きなメタルファンの方が好みが合うはず。

 

Duplicity - Silent Descent

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