Elegy/Amorphis

フィンランド出身、1996年発売の3rd。
メロディック・デスメタル界の名盤を挙げろと言われてこのアルバムを挙げないわけにはいかない奇跡の名盤のうちの一つ。正に伝説の1枚。
名前は知ってるけど聴いた事ないって人もいたり、Eclipseあたりからファンになった人もいたり、更にはIn FlamesやDark Tranquillity、そしてSoilworkあたりの陰に隠れちゃったりしてる。

1st"The Karelian Isthmus"については、その後のこのバンドの方向性は感じるものの、それほど自分の琴線に触れるわけでもなかった。
ちなみに、それ以前のPrivilege Of Evilも持ってはいるんだが、今回再度聴き直してみたが…う~ん、俺にとっちゃ微妙なアルバムだ。まぁ、聴き所としてはミックスがティモ・トルキということくらい。
2nd"Tales From The Thousand Lakes"からだな、このバンドがただ者ではないということを感じたのは。1曲目の小イントロで昇天。大多数のファンも認める傑作"Black Winter Day"の激しい叙情性に涙。
疾走曲なんて一切無し。それでも超強力。

そして、この3rdアルバム。
ミドル~スローな曲調はそのままに、よりメロディを強調するためかクリーンvoを大投入。まぁ、クリーンvoの導入自体はこの時代のメロデスでも特に目新しい要素ではなかったんですがね。
シタールを使ったメロデスってのは珍しいが。
メロディ的には、北欧の民族的なものやオリエンタルな雰囲気なものまで導入しているというある意味ゴッタ煮的でありながら、それがかえって飽くなきメロディの追求の姿勢を感じさせる。

さて、小難しく解説しても仕方ない。
メロデス界最強クラスの名曲"Elegy"を聴いてほしい。
このアルバムは名曲揃いだが、この1曲のために買う価値がある。

もはやメロディック・デスメタルとは呼べないような楽曲なんだが、この慟哭はメロディック・デスメタルという土壌からしか生まれないんじゃないかと思うほど切なく、そして悲しい。

鳥肌が立って泣けたメロデスはこれが初めてだった。
voのフューチャー度は圧倒的にクリーンの方が高い。しかしながら、この楽曲のポイントというかキモは完璧にデスの方だ。
イントロの美しいピアノの旋律から先、サビも含めてクリーンvoで延々と静かに展開していくという、ともすれば普通のパワー・バラードなのだが、圧巻は3分15秒すぎのデスvoを使ったパート。

もちろん、疾走パートなど一切なし。
長尺とも言える7分半の楽曲だが、よくぞこの長さにまとめたと感じるほど、濃く深い。まったく無駄な部分を感じることはない。

他にも、My Kanteleという名曲もあり。
これも疾走するわけじゃないんだけど。
スロー~ミドルのテンポを頻繁に転調させながら、気怠いメロディで終始進んでいくという、普通なら敬遠したくなるパターン。
べらぼうに悲しいというより、少し切ないって感じがいいんだな。
11曲目はコレのアコースティック・バージョン。
当然11の方が切ないが、ポイントは後半のシタールだ。

珍しい疾走曲のOn Rich And Poorは、なかなかスリリング。
それでも、みんなが考えてるほど疾走してるわけじゃないよ(笑。
ベースとなるリフやメロディはほぼリピート状態なのだが、サビはテンポダウンでクリーンvoという、今ではメタルコアの常套手段。
このリフとメロディは、本当にクセになる。
うねるようなメロディはAmorphisらしい、かな。

1曲目のオリエンタル風メロディを持つBetter Unbornのイントロは、一瞬CDを間違えたか?と思うこと間違い無しの場違いさ。
まぁ、本作を象徴するような楽曲なのでヨシとしよう。

繰り返すけど、Elegyただ1曲のためにこのアルバムを入手してもソンはしないほど、圧倒的な存在感と個性を持った楽曲だ。

メロディック・デスメタル初期の名盤でありながら、その時点ですでに最終進化型を見せてしまった究極の傑作(言い過ぎではない)。

 

2008.06.14初出

 

Elegy - Amorphis

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