Figure Number Five/Soilwork

スウェーデン出身、メロディック・デスメタル・バンド改めエクストリーム・メタルと化したバンドの2003年発売5th。
このバンド(と、このアルバム)がメロディック・デスメタルをダメにしたという声があちらこちらで聞こえるが、旧態的なメロディック・デスメタルを破壊して新世代エクストリーム・メタルの地平線を切り開いたという意味で、このアルバムの持つ意味は大きい。

 

自分的にはこのバンドの最高傑作は前作のNatural Born Chaosだったと信じて疑わないのだが、今なお続くメタルコア・ブームを見るとこちらの5thの方が一般的には評価が高いような気がする。
このアルバムが悪いという意味では決してないです。

実際、Natural Born Chaosが凄すぎただけだ。

 

3rdあたりまでは幾分見られたブルータリティも4thではほとんど見られず、この5thに至っては全く姿を消してしまった。
アグレッシブさが"売り"でもあった前作と比較しても、本作では疾走はするものの爆走という感じはほとんどしない。
もうこの5thに至っては、メロディック・デスメタルとしてのアイデンティティはそのデスvo以外には全く存在していない。…とは言っても、その肝心のデス声も楽曲中では半分くらいしか使われず、サビではオール・クリーンvoで歌われるという状況ではあるんだが。

さて、そうして失ったブルータリティやアグレッシブさの代わりに全面に押し出したのが『キャッチー』なメロディーだ。
天下無双のサビメロ職人とも称されるSoilworkにとって、キャッチーなメロディは別に本作に始まったことではないのだが、4th以前では『メロデス+キャッチーなサビ』を売りにした第2世代メロデス・パターンだったのが、本作では楽曲全体にポップでキャッチーでオーセンティックなメタル・メロディを散りばめた作風となった。
現在のエクストリーム・メタルの起源と言えるだろう。
4thを最高傑作だと信じる俺にとっても、このアルバムが現在のメタルに及ぼした影響力を考えると、史上に残る金字塔だと言ってもあながち言いすぎじゃないと思う。それほど画期的なアルバムだった。

一番好きな曲はDistortion Sleepだなぁ。
もう、voもほとんどデス声じゃないんだよね。
ミドルテンポの楽曲で…というか、アルバム全体がこんな感じなんだけど…サビメロの美しさが一層際立っている名曲だと思う。
楽曲のいたるところで"タメ"が生かされてるんだよね。
この曲だけは、何度聴いても飽きないな。

 

もちろん1曲目のRejection Roleもカッコイイ。
CDを初めて聴いてブッ飛んだよ。
メロディック・デスポップと呼んだ方がいいかもしれない。"軽い"とかいう意味ではなく、とにかく聴きやすくて親しみやすい。
当時はこの1曲目から鳥肌全開で聴いてたっけなぁ。
イントロからサビ、中盤から先のメロウなパートに至るまで、どこを切っても隙が無く、Soilworkというバンドの頂点を見た感じ。
この曲に限らず、サビが伸びやかで一緒に歌いたくなるんだよなぁ。

 

ホント、このビヨーンというvoは得難い人物だよね。
デス声は比較的に効きやすいし、クリーンの声の方は伸びやかでありながら必要以上に線が細く無く、たぶん高音は得意じゃないんだろうけど、それを補ってあまり有る中音域の美しさがあるからね。
華があるvoだから、曲がより一層美しく際立ってる。
たいした曲じゃなくても、すごくいい曲に聴こえる(笑。

聴いたことがないという人はよもやいないと思うんだが、メタルコア系はもとより、エモ/スクリーモ系、ラウドロック系、新世代ヘヴィメタルやエクストリーム・メタル系、もちろん現メロデス系に至るまで、それらを愛してやまない全てのメタル・ファンが必ず聴いて通過しておくべきアルバムであるのは間違いない。

傑作であると同時に、一つの頂点を極めたアルバムだからだ。

Figure Number Five - Soilwork

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