Lizard Dusk/Tracedawn

待ちに待った、フィンランド出身のモダン・メロディックデスメタル・バンドの2012年発売3rd。

前作が2009年の9月発売だったので約2年半のブランク。長かったですね。

 

1stアルバムは鳥肌モノのクオリティで、掛け値なしの名盤だった。それに比べて2ndは、路線は同じながらも微妙に地味な作風となっていた。やってることは大して変わらないんだけど、なぜか耳に残らない。1stのIn Love With Insanityの衝撃が強すぎたのかもしれない。飛び抜けたキラーチューンが無い代わりに、良曲と呼べる楽曲は多数あったのだが…印象は地味(笑

そして、本作。路線は全く同じ。Scar Symmetryタイプのモダン・メロデスだが、それよりはメロデス方向へ振った作風というのも同様。少しプログレっぽいところもあるのも同じ…だが、前作までよりもプログレ要素は強くなった。前作で妙にまとまりすぎて平坦に見えた作風も、本作では1stの頃のようなダイナミックで起伏の大きな作風へ戻っているのも嬉しいところ。ドラムもベースもツインのギターもシンセもとにかく手数が多くテクニカルな方向へ走っているが、サビやメロウなパートなど引くべきところは引くことで、楽曲に広がりを持たせているように思う。

voはC.アルヴェスタムに影響を受けたかのようなデス声とクリーンvoを操るが、デス声の方は低音の吐き捨て型で凶暴系だが、このテのvoでは聴きやすい方。クリーンvoはハイトーンの甘メロウな声質で正にC.アルヴェスタムそのものだが、そこまで表現力が豊かではない。

 

アルバムのキラーチューンと言えるのは、"Machine"

イントロがモロに1stのWithout Wallsじゃん(笑。その後の展開も全体的にWithout Wallsをトレースしてる感じ。あの頃よりもタメの効かせ方や、サビの作り込み…クリーンとデス声の掛け合わせなど、着実な進化はうかがわせる。てか、たしかvoは一人だったよな?

 

"Nothing And Nowhere"も見事というほかない1曲。

一瞬、In Love With Insanityの衝撃が再びやってくるのか!?と思ったが、そんなことはなかった(笑。起伏の激しいドラマチックな楽曲で、ちょいメロウなサビは印象的。いや、一番印象的なのはこのリフなのかな。ピアノの音色を効果的に使っているのもポイント高い。

 

2曲目の"Breed Insane"はノリのいい楽曲。

アルバムの他の曲に比べればプログレ風味も薄めで、かなりストレートなノリの楽曲。こういう曲を聴くと(いい意味で)初期のScar Symmetryを強く想起するなぁ。

後半のピアノパートからサビメロを通過してのエンディングがいい感じ。

 

特に後半、5〜8曲目は怒涛の良曲ラッシュ!前半1・2曲目にノリのいい楽曲を、後半はダイナミックな展開の楽曲を。リーダートラックにはこうした曲を配置すべしという見本だ。

 

Tracedawnのファンとしては、3rdで復活!と喜びたい作品。実際、Tracedawnというバンドのレベルから言えばこのくらいのクオリティのアルバムを発表しても驚きは少ない。バンドのレベルが高いから、ファンの望む作品クオリティのハードルも必然的に高くなってしまう。まぁ、今回もIn Love With Insanityに匹敵する楽曲は無かったが、それでもこのアルバムは良盤だと思う。

Tracedawnは買って安心。その他、普通のモダンメロデス系バンドでは物足りない人、テクニカル系のメタルコア好きで叙情メロディも好きだという人にもぜひ聴いて欲しい作品だ。

 

Lizard Dusk - Tracedawn

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