myGRAIN/myGRAIN

フィンランド出身のメロディック・デスメタルバンドが2011年にリリースした3rdアルバム。

1st・2ndと国内盤は無くて、本作でようやく日本デビューを果たした。1stリリースが2006年、2ndが2008年なので新人というわけではない。1stリリース時から北欧クサメタルバンドを多数抱えるフィンランドのメタル専門レーベルSpinefarm所属。実際、Spinefarm所属のバンドはクオリティが激高で日本のファン層にも合っていると思うので、こうしてどんどんデビューして欲しい(話が逸れてるけど、ドンマイ!)。

 

1st時から音楽性に基本的な変化は無く、ベースは新世代系のメロデスというかモダン・メロディック・デスメタルの範疇にあるサウンドで、SoilworkやDisarmonia Mundi、Sonic Syndicateなどと同系統と言える。昔はそうは思わなかったが、インダストリアル系のメタルからも影響があるように思う。

展開の起伏とか複雑さやテクニカルなプログレ系の要素を持ち込むバンドも多くなってきている昨今、このバンドにはそういったものはほとんど無く、ミドル~ミドルハイのテンポで疾走させる楽曲を中心にストレートに攻めるスタイルが心地良い。その分、よりメロディを重視しているので極めて即効性が高い。

ツインギターの編成だがリフもリードも特徴的とか個性的ってわけでもなく、ノリの良さとメロディの美しさに比重を置いているバンドでもあるため、楽曲をトータルで見て構成や展開に破綻が無いように練られた効果的で魅力的なフレーズは多い。ただ、プログレ系やテクニカル系の要素は無いが別にギターがヘタとかそういうわけではなく、テクニックを誇示しないだけで安定感の高さは相当なもののように感じる。

各楽器がそれほど存在感を主張していないのはkeyにも言えて、サイバー/トランス的なフレーズや音色を多用してそれなりに目立つ存在になるはずなのだが、自己主張が激しくないので楽曲に上手く溶けこんでいる。

以前はグロウルもノーマルもそれほど魅力的に感じなかったのだが、ここまでmyGRAINを追い続けているうちに好きになってきました(笑。ノーマルvoの比率が過去最高で、グロウル一本の楽曲は皆無。元々デス声ってわけではなくスクリームvoと言った方が正しかったのだが、本作ではスクリームvoフューチャー型パワーメタルな路線がより明確になったように感じる。ちなみにこのvoが魅力的に見えてきた理由は、自分の音楽的趣向がメタルコア系にシフトしたことと、このvoの独特な節回しでの歌い方がそれほど個性的でもないサウンドに特徴的なアクセントを与えているように感じたから(Universumへのゲスト参加でより強く感じた)。

 

"Into The Parallel Universe"

冒頭ストリング部分は別トラックとして独立させず、それが約40秒にわたって続いた後にようやく本編のイントロが開始。この不穏な雰囲気から始まってテンションが上がっていく展開はいいですね。楽曲は完全にパワーメタル。中盤にギターソロも搭載。スペイシーなkeyも目立たないながら効果的な仕事をしてます。

 

"Trapped In An Hourglass"

イントロはメロディックメタル的でありながら、本編に入るとスラッシーに変化。スクリームパートはガツガツと刻むようなリフで進行、サビでメロディアスに変化するというのは1stや2ndでも見られたパターン。ただ本作では、以前よりもサビでのメロディアスさが増量されているように感じますね。

 

"Cataclysm Child"

アトモスフィックなkeyメロで始まって、そこからはスラッシュ的な音楽性。2ndとかの音楽性に一番近いのがこの曲かな。キャッチーなサビがステキです。エンディングの処理もアルバムラストに相応しい処理。

 

基本キャッチーな音楽性なので、Disarmonia MundiやSonic Syndicateなどのノリが良くてモダンなメロデス好きなら手を出して間違いの無い良盤。また、スクリームであってデス声ではないので、メロディックなパワーメタル好きにもアピールできる音楽性。けっこう、幅広いファンにオススメできる好盤です。

1st・2ndも音楽性は基本的に同じですので、気に入ったら是非過去作も聴いてくださいね。

どうでもいいけど、バンド名は"my"の部分が小文字で"GRAIN"が大文字というのが正しい表記らしいです。

 

MyGrain (Japan Edition) - MyGrain

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