Odyssey (un) Dead/The Breathing Process

アメリカのメロディック・デス/メロディック・ブラックメタルバンドの2010年2nd。

1st当時からデスコアっぽいグルーヴ感を漂わせながら欧州のデス/ブラックメタル勢を思わせるシンフォニックさや叙情的なメロディを大々的に投入し、転調や変拍子を絡ませたプログレッシブ風味も織り込んだ一風変わったメタルをやっていた。が、デスコアがベースになっているのは明らかと言っていい音楽性。リフワークとか、やっぱりグルーヴを重視した展開になっていた。

本作も基本は変わらずだが、シンフォニックというかアトモスフィックな雰囲気は前作を遥かに上回っている。時折サイバーな感じのシンセは乱入するが別に気にするほどでもない。デスコア的なグルーヴ感は前作に比べて明らかに減少。そのせいでデスコア的な雰囲気は薄らいで、よりメロディック・デスメタルに寄った作風に聴こえる。転調が激しかったり変拍子を多用するのは前作以上で、よりプログレッシブな色合いが強くなった。また、そのプログレッシブ感覚も前作に比べて練りこまれたものとなっているので、楽曲の構成力は前作を遥かに上回っている。「バンドとして成長した」ということなんですかね。

そういうわけで、いかにもアメリカンなメロデスバンド。ジャンルとして正しく表現するなら、シンフォニック・プログレッシブ・デス/ブラック・アメリカンメタル(なげぇよ!)

まぁ、基本はこんな感じのバンドなんですよ。あくまでも"基本"は。

この"基本"のみのアルバムだったら、確かにこのアルバムは悪い内容ではないけど、あえてレビューまでするようなアルバムではなかったんです。それが、こうしてレビューすることになったのは、アルバム中の2〜3曲に見過ごせないドエライ楽曲が混じっているからなんですよ。

 

まず、7曲目の"Odyssey (Un)dead"

いきなりピアノから始まって、クサめのギターメロディ。そこからはバンドの基本路線が続き、ただのイイ曲で終わるのかと思ったら、女性vo乱入してからのメロディで悶絶しました。プログレッシブな展開はほとんどなく、全体的にシンフォニック・デスメタル系の雰囲気で統一。

 

で、最大の問題作である8曲目"Metamorphosis"

この曲は非常にヤバイです。この曲だけでアルバム買って良かったと思った。若干のプログレ感を持ったメロデスをベースに、アトモスフィックなブラックメタル的シンセを投入。メロディは言うに及ばず、リフも印象的だし、女性コーラスはいい味出してるし、最初から最後までブルータルなデスメタルを押し通しつつ、ここまで美しく仕上げたのは驚異的じゃないかと思う。

 

アルバム的には中の上だけど、8曲目だけは傑作と呼ぶのに迷いが無い。

Abigail Williamsにプログレ風味を混ぜたというか、The Black Dahlia Murderにシンフォニックさを足したというか、基本はアメリカのデスコア/メロデス/メロブラ勢と同路線。なんだけど、ブラスト叩きまくって爆走というのは無く、疾走はするけど終始そればかりでもないし、展開の起伏を大事にしたバンド。転調・変拍子なので、けっこう先の見えない展開の楽曲が多い。

7・8曲目はキラーチューンだけど、それで1st&2ndを買うのは危険。

 

Odyssey (un) Dead - The Breathing Process

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