The Nemesis Construct/Emergency Gate

ドイツ産のメロディック・デスメタルバンドの2010年発売通算4作目。

2000年に自主制作で1stを発表後、2nd発表が2006年。3rdが2009年、そして本作と活動が徐々に安定してきた。1stは未聴なので、2nd以降の音楽性から本作を見てレビューしていこうと思う。

 

2006年発表の2ndではパワーメタルというかメロディック・メタルをやっていた。デス声は無し。当時もそれほど良かったとは思わなかったが、今も個人的評価は微妙。個性的でもなければ、楽曲が魅力的でも無い。叙情的ともいえないクサメロも若干は出てくるが、それすらも洗練というには程遠く、かといって味わい深いメロディってわけでもない。ボロクソに言ってるが、実際個人的には残る印象は何も無かった。

1stの音楽性も、予想するに2ndのパワーメタル路線だったんじゃないかと思う。

そして2009年の3rd。ここで突然の方向転換。デス声フューチャー型のパワーメタルというかモダン・メロデスをやるようになった。ヴォーカリストは2ndと同じ。なのでデス声というか、ただ声質を歪ませただけに聴こえなくもない。楽曲的には2ndよりも遥かにアグレッシブでモダンになったので、2ndから約3年の月日は無駄ではなかったということだろう。路線で言えばSonic SyndicateやUniversumタイプ。展開にメリハリを持たせた上で、メロディも印象的なフレーズが見られるようになった。ツインG構成ながら1stでヴォーカリストが兼任していたもう一本のGが本作では専任のGを加入させたツインG編成となっているのも大きい。

そんなわけで、2ndはどうでもいいが、3rdに関してはなかなかの良盤だった(vo以外は)。

 

そして本作。よりモダン・メロデスとしての路線を明確にした感じ。メロデスバンドがよりオーセンティックなメタルにシフトしていくのはよく見られるが、元々オーセンティックなメタル路線だったバンドがメロデス化していくのは珍しい。ちなみに、本作でヴォーカリストがチェンジ。そのおかげでデス声のフューチャー率は過去最高だし、何より微妙だったデス声も少しはまともになった(それでも若干微妙だがww)。

Sonic Syndicateタイプだが、最新作でほぼメロディック・メタル化したSonic Syndicateの路線ではなく、2ndとか3rd時の路線を引き継ぐモダン・メロデス路線。クサくなり過ぎない程度に叙情的なメロディを配して、ブルータルにならない程度にアグレッシブで、軽くならない程度にノーマルvoを導入した作風。まぁ、メロディック・メタル寄りな作風なのは間違い無いのだが、プロダクションとアレンジでサウンドをメロデス方向へ振った感じかな。専任のkey奏者はいるがツインのGが前面に立っているのでバランスは良い。

 

1曲目"Alternative Dead End"

アルバムのリーダートラックだが、この曲を1曲目に配置したのは正解。アルバムの方向性を実に良く表していると思う。アルバムが基本メロディック・メタル寄りなモダン・メロデス作風の中で、よりメロディック・デスメタル寄りな本楽曲を1曲目に配したことで、この後の楽曲がモダン・メロデスと認識できる。

 

2曲目"Nothing To Lose"

時折サイバーなシンセが乱入してくるのはアクセントになって良いかも。サビのメロディが実に味わい深い。この曲を聴くと、デス声とノーマルvoのヴォーカリストが二人存在してるように思うのだが? メンバー見てもvoは一人だし。よく分からん。アルバム上でのアレンジでそうしているだけなのかな?

 

10曲目"The Green Mile"

Sonic Syndicateそのまんまですね。パワーメタル系のノリにデス声をフューチャーした感じ。それだけに全編でハイテンション。ノリノリのままらストまで突っ走っていく。中盤のギターソロも良い感じ。エンディングはピアノで静かに終了するのだが、これは11曲目のイントロに繋がる展開を狙っているのかも。

 

実際、Universumがオーストラリア出身だというのもビックリだったが、このバンドもドイツ出身とは思えないほどスウェディッシュなモダン・メロデス路線の音楽をやっている。そういう意味ではドイツ産でも異端。UniversumとかSonic Syndicateから枝分かれしたThe Unguidedが好きな人や、Sonic Syndicateの最新作は音が軽くなって困った方、もちろんモダン・メロデス好きな方全般にオススメ出来る良盤だ。

 

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