ε (イプシロン) / Blood Stain Child

日本のトランスメタル/メロディック・デスメタルバンドの2011年リリース5thアルバム。
3rdまでは日本のローカルバンドだったが、以降はドイツのDocktard1やアメリカのLocomotiveと契約を交わし、2010年にはDisarmonia MundiのEttore Rigotti率いるCoroner Recordsとの契約に至った。
本作よりメンバーチェンジがあり、専任グロウルヴォーカルのSADEWが脱退しギリシャ人女性ヴォーカリストのSOPHIAが加入。もちろんクリーンvoを担当。グロウルに関しては3rdまでRYOが担当していたが本作で再登板することとなった。ドラマーもVIOLATORから元YOUTHQUAKEのGAMIにチェンジしている。

音楽性としては3rdから引き継ぐ「アグレッシブ&スピーディーな展開の上にサイバー/トランス系のシンセサウンドとクサメロ全開のギターメロディを載せたもの」である。そうした"芯"の部分では大きな変化は無いのだが、実際にはメロデス的な部分を減退させてメロパワ/メロスピ路線を色濃くした作風となった。
展開面がよりダイナミックになり、疾走するパートやヘヴィなミドルのパート、静かに落とすパートなど起伏が激しくなったように感じる。ヴォーカル面でもメインが女性に変わったことで、クリーンvoとグロウルの対比はより鮮明になった。アグレッシブさとメロディアスさというバンドのコアの部分がハッキリと聴き手に伝わってくるという意味では音楽性の若干の変化とヴォーカルチェンジは大正解だったと言える。
メロデス的な部分は明らかに少なくなっており、音楽性としてはCoB…というかフィンランド的なメロデスからほぼ脱却し、女性ヴォーカルという部分も加味すれば古いところだがDark Moorあたりの路線にサイバー/トランス系のシンセを載せたようなサウンドに変化した。デスっぽさは一部のデス声のみだろう。
また、相変わらずギターが活躍してクサメロをぶち撒けているのは確かなのだが、プロデュース的には前作と比較してギターよりシンセが前面に立つようなアレンジが施されたのも変化と言える。ただ、シンセ部分はモダン方向へ、ギター部分はクサめな方向というBlood Stain Childらしさは失われていない。

 

SIRIUS VI
3rdの頃を思い出すようなスピーディー&アグレッシブな楽曲に女性クリーンヴォーカルとグロウルが載っているのは最強かもしれない。曲展開も起伏が激しくてメリハリが利いているし、モダンさとクサめなメロディのバランスもいいと思う。シンセが相当に強めだがギターもソロを導入するなど頑張っている。

 

STARGAZER
イントロはトランス節全開だが、楽曲本編はDark Moorっぽいメロディック・メタル。アグレッシブな曲調にサイバー的なシンセはなかなか良い組み合わせ。だけど、いかにもジャパニーズメタルっぽい演出も。

 

ETERNAL
ダイナミックな展開を持つドラマチックな楽曲。相当にアグレッシブなパートと静かに落とすパートの対比がキレイだと思う。程良いメランコリックさもあって、アルバム中では1曲目と同じくらい好きかな。

音楽性は若干変化しながらもBlood Stain Childの何たるかはしっかりと表現されていると思う。
個人的に、極めて高いクオリティで自身の音楽性を完全に確立したバンドという意味では日本を代表する存在と言っても何ら過言ではないと思う。音を聴いてBlood Stain Childとすぐに分かるサウンドを作り上げたのも凄いと思うし、海外のアーティストで名前を見かける日本のバンドはコイツらくらいだしね。
トランス系のメタルが好きなら聴いておくべき良盤と言える。

えーと、2012年7月17日をもってSOPHIAが早くも脱退となりました。
ヴォーカルが公募されているのですが、そこで気になるのが「クリーン&グロウル出来る方」という部分。これって、再び男性voに戻る予定ってことでしょうか? 女性グロウルはなかなかいないと思うので。それにグロウルに関してはRYOが出来るはずだし。そうすると、音楽性も3rd&4th路線に再び変化するのか?
ただ、SOPHIA&SADEWと同等以上の人材を探してるって文言もあるので、男女問わず、クリーンとグロウルのどちらでも可、できればグロウル&クリーンが操れる人材がいい…という意味なのかな?
…というか、3rdと同じ体勢でやった方が早くないか?

 

ε(イプシロン) - Blood Stain Child

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