Poetic Justice/Lillian Axe

アメリカ出身、80年代中期~後期にかけてブームになった"LAメタル"に分類されるバンド。
LAメタルとは何ぞや?という疑問にぶっちゃけて例えるなら、日本でのヴィジュアル系と呼ばれるジャンルに内包されるイメージそのものです。音楽的なジャンルというよりバンドを形成しているイメージといった方がいいかもしれない。
Poison、Cinderella、Mötley Crüe、Ratt等、音楽的にもヴィジュアル的にも似ているようでありながらそれぞれの(微妙な?)個性を保っていたLAメタル勢。
音楽的には、ノリノリ系のパーティロックだったり不良イメージ系ダーティロックが主流の中で、Lillian Axeの場合はどこかしらヨーロピアンな雰囲気を持った叙情的なハードロックをやっていて時流からは外れていたような感じであったし、肝心のヴィジュアル的な部分も、あまりにも微妙で地味な印象だった。
しかし、天才的ソングライターStevie Blazeの独特なメロディセンスによって、音楽的には極めて高いレベルにあった。
1st収録のWaiting In The Darkはマニアの中では伝説の名曲として語り継がれているし、2nd収録のGhost Of Winterの哀メロに涙した人多数出現という、LAメタルの異端児でもあった。

さてこのPoetic Justice、バンドにとっては3rdアルバムなんですが、発売は1992年、すでにLAメタルブームは終焉してました。
そんなわけで、話題にものぼることなくひっそりと発売され、一般的には何の印象も残さず消えていきました。
あぁ、残した印象もありましたね。
ジャケットの酷さにひいてしまうという…

 

まず、何はなくとも10曲目のThe Promised Land

LAメタル史上屈指の名曲と名高い(?)バラード。
アコギ&Key&Voが同時に入って曲はスタートするが、一般的なパワー・バラードとは違い、楽曲はどこか寂し気で哀しい。
サビメロもまた秀逸なのだが、2回目のサビ後に訪れる、
『Take My Hand To The Promised Land.』
と追加される部分が必聴。
ただこの一節のメロディが追加されただけで、1回目のサビメロとは段違いの感動が生まれた。
エンディングが楽曲の導入部をリフレインする形となっているのもセンスが良くポイントも高いと感じる。

6曲目のLiving In The GreyはHRソング。
イントロはドライヴ感を醸し出すギターリフ。
なのに、Voが入るとそれまでの印象を覆すかのように、いきなり哀愁感を前面に押し出すかのごとく、静かにスタート。
そこから楽曲は徐々に盛り上がっていくのだが、特にブリッジ~サビへの流れが美しく、ブリッジのメロディをドライヴさせてリフレインする手法は素直にカッコいいと思う。
何より、サビへ向かって徐々に盛り上げていくというスタイルなので、楽曲は何故か哀しげに聴こえてしまうのも◎。

全体的に楽曲の構成自体に破綻がなく、美しく纏められている。

1stと2ndが何故か海外で再発されたらしいが、今頃何故?というより、最高傑作のこの3rdが何故再発されない?

中古屋で見かけたなら、即買いの1枚です。

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