Good Vs. Evil/Sarah Gave It Up

スウェーデン出身、メタルコア/エレクトロコアバンドの2012年リリース1stアルバム。
レーベル契約は無いようだが、ブッキング・マネージメントについてはThe UnguidedやSolitudeと同じHornsup Agencyというところが行なっている。まぁ、ローカルなインディーズバンドってことですね。
バンド結成は2010年頃で、メンバーはツインヴォーカル&ツインギターの6人編成。

サウンド的にはエレクトリカルなメタルコアという謳い文句をそのまま受け取っていい。ただ、メタルコア度はスクリームをフューチャーしていることぐらいと少なめで、ポストハードコアあるいはオルタネイティヴメタル的な感覚がより強い。スクリーマーとノーマルヴォーカルのツイン体制だが、音楽性を反映しているかのようにヴォーカル的にもノーマルvoの方が前面に出ている。楽曲的にもスクリームやノーマルvoをパートで分断するような手法は採っておらず、スクリームオンリーのパートもあるがノーマルvoの裏でバッキングヴォーカルとして機能している場面も多い。ノーマルvoはハスキー系のエモーショナルタイプで、スクリームは喚き散らしタイプ。時折併用される低音のデス声タイプvoはギタリストが歌っているのかな?
北欧系のバンドらしく叙情性はたっぷりで、特にノーマルvoパートでは"クサい"と言ってもいいようなフレーズを持ち込んでいる。恐らく、ハードコアとしてのバックグラウンドは無いに等しく、シンフォニックなメロディック・メタル~メロディック・デスメタルあたりがバンド…ソングライターと言ってもいいけど…としてのベースになっているんじゃないかな。サウンド的な手法は英国のRavenfaceと類似しているので、メタルコアというより叙情的なエクストリーム/モダンメタルとして捉えるのがいいのかもしれない。
メロディアスすぎるくらいメロディアスだが攻撃性もそれなりにあって、アグレッシブさとエモーショナルさの対比が効いている。疾走パートからミドルやスローなパートへの落とし方はブレイクダウン的ではなく、楽曲の中で緩急を表現するための手法に見える。ただ、音圧は常に厚めなので効果は薄まっているのだが…。
ツインのギターはメタルコア/ハードコア界では相当に弾きまくっている部類に入り、特にリードの方は「メロデスでもここまで弾いてねぇよ!」ってくらい。全曲ではないがギターソロもフューチャー。速弾き系とかテクニカル系に走るのではなく、大体がエモーショナル系のフレーズを連発してるのもバンドの方向性に合致していて良いと思う。自己主張的弾きまくりではないのも交換が持てるポイントと言える。
こんな音楽性の中でこのバンドの要とも言えるのがシンセで、前述のようにギターの弾きまくり方も相当なものなのだが、シンセのフューチャー度は下手なシンセコアバンドを凌ぐくらい凄まじい。ほぼ全編でシンセが鳴り響いているため、ギターサウンドやツインのヴォーカルと相俟って音圧はかなり厚め。サウンド的にはスペイシーなものを主軸に、楽曲によってはシンフォニックなサウンドも取り入れている。
ただ、これだけシンセのフューチャーが多いのにメンバーは在籍してないんだよなぁ。

キラーと言える楽曲は無いが、各楽曲共にレベルの高さは維持しておりアルバム的にはかなりの好盤。
Ravenfaceが好きならマストなアルバムだが、Solitude、His Statue Falls、Fail Emotionsあたりが好きなメタルコア/エレクトロコアファンもチェックしておいて損は無い。シンセサウンドに抵抗さえ無ければ、叙情的なメタルコア/スクリーモ/ポストハードコアファンにもオススメできる良質なアルバムだ。

 

Good vs. Evil - Sarah Gave It Up

現在ヘビロテ中!

Twitteやってます!