Stories/Claps For Caroline

ハンガリー出身のシンセコア/スクリーモバンドの2012年リリース、デビューアルバム。
バンド結成は2010年のようで、現在のところローカルなインディーズバンド状態。
メンバーはノーマルとスクリームのそれぞれ専任ヴォーカリストとツインのギターを含む6人編成。ただし、ギターのうち一人はシンセも兼任している。たぶん、シンセはプログラミングじゃないかな。

サウンド的にはシンセコア/ピコリーモの類で、Skip The Foreplayの双子の兄弟みたいな感じ。
専任のスクリーマーが存在するほどなのでスクリームパートもそれなりに豊富だが、基本はノーマルvoを主軸に据えてスクリームで味付けしたもの。ここ最近で現れたシンセコア/ピコリーモの中でもチャラさは相当なもので、シンセサウンドは超厚盛状態。ほぼ全編でシンセが導入されている。音色的にもトランス系が基本となっており、時折We Came As Romansっぽいシリアスな感じのサウンドも使い分けている。
チャラさだけではない男らしさ…いわゆるメタルコア的な土台もしっかりとしているのが特徴で、本来のスクリームパートはノーマルvoで歌われる場合もあるが演奏的にもアグレッシブかつパワフル。シンセばかりではなく、ギターの方もリフワークはかなりメタリックだし、"The Feeling Is Always Strangle"や"Breaking The Dancefloor"のようにごく一部の楽曲では流麗なギターフレーズを持ち込んだりもしている。また、ビートダウン/ブレイクダウンの手法も盛り込んでいるが、それが楽曲にガッチリと馴染んでいるのも魅力的。
スピーディーでノリの良い展開を持つ楽曲で占められている上、歌メロやサビはとにかくキャッチーなので聴きやすいと思う。適度にメロウさもあるし、爽快で伸びやかなメロディも豊富。前述の通りメロディのほとんどはシンセが創りあげている状態だが、アグレッシブな要素もかなりあるのでチャラさだけではない。

オリジナリティという面では"?"が付くが、この手のジャンルでオリジナリティを云々するのがおかしいわけで、全体的にアレンジセンスは相当高く、ローカルなインディーズバンドにしておくには惜しいほど。
東欧的に言えば初期のFail Emotionsとカブる部分はあるし、アメリカンな見方からすればSkip The Foreplayそのものとも言えるサウンドなので、その手のピコリーモが好きなら間違い無くマストなアルバム。
ハンガリーという失礼ながら辺鄙な場所から非常にクオリティが高いバンドが現れて驚いた。東欧的シンセコア独特のB級臭さが全く無く、良い意味でアメリカナイズされたサウンドなのでシンセコア/ピコリーモの一線級バンドと比較しても何ら劣る部分が感じられない。ピコリーモ好きなら確実に買いの一枚だろう。

 

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