Обреченный Жить/Pictures Inside Me

ウクライナのメタルコア/メロディック・デスメタルバンド"Pictures Inside Me"

個人的には、東欧地域で最強クラスと断言してもいいレベルのバンドです。

レーベルと契約も出来ていないのでアマチュアなんですが、これが凄まじいクオリティのバンドで正直困っています。なぜなら、どこにも音源を売っている形跡が無いからです。そもそも彼らのMyspaceでもFacebookでも聴ける音源はごく僅か。悲しいですが、ほとんどYouTubeで聴くしかないのが現状なのです。やっぱり東欧という環境ではレーベルと契約するのは他地域と違って相当ハードルが高いんだろうな、と感じる。

そんなわけで、この素晴らしいバンド"Pictures Inside Me"を少しでも世の中に知らしめるため、音源は全てYouTubeのものですが、紹介と応援を兼ねてアルバムレビューしてみたいと思います。

 

このアルバムの発表はどうやら2009年で、一応1stフルアルバムらしいです。

ウクライナ語でタイトルがつけられていますが、英語では"Condemned To live"という意味。

バンドの結成は2007年(2005年という説も)、メンバーはツインギター編成の5人組。シンセが導入されている曲もあるので、メンバーの誰か、もしくはサポートメンバーにkey奏者がいるかもしれない。結成以来メンバーチェンジも行われていない(らしい)。voは恐らく一人でグロウルとノーマルを使い分けてる。

音楽性はメタルコアと自称しているが、幾分メロデスの血も入ってるっぽいサウンド。ノーマルvoも使っていたりピコリーモ系のシンセも導入しているが、そうしたエモっぽい部分は音楽性の中でも比重はそんなに大きくない。どちらかというと、ヘヴィでブルータルな部分が占める割合の方が大きいくらい。

このヴォーカリストのグロウルは低音吐き捨て型でかなりの極悪ヴォイス。ブルータルで突進力のあるグロウルパートがより増幅されているように思う。ノーマルvoはちょっとクセがあって…あまり好きな声質ではないかな(笑。あ、たぶん全曲ウクライナ語で歌われていると思う。節回しが英語と違ってちょっと独特。グロウルパートはその独特の節回しがメロディに上手く噛み合ってる。ノーマルvoのパートは少し違和感があるものの、曲の雰囲気を壊してしまうほどのものではない。要は、あまり気にするなってことです。

低中音のデス声っぽいグロウルをメインに、それより若干下の吐き捨てヴォイス、更に下の下水道ヴォイス、上はシャウトから絶叫まで使い分けているので、表現力の幅はかなり広いです。

東欧でありながらメタルコアとしての方向性はオーストラリア系に近い。先述のメロデス要素もそうだし、叙情的なメロディとか。特にエモーショナルなギタープレイは聴きどころの一つ。モッシュパートの最中でも叙情メロをぶちこんじゃうくらい。そんな状態だから余計にメロデスっぽく聴こえてしまうのかもしれない。

 

"Обреченный Жить" - Doomed To live

モダンメロデス? デスコア? そんな感じのアグレッシブなイントロからグロウルパートへ雪崩れ込んで、ノーマルvoのサビへ。前半はアグレッシブに、中盤でヘヴィに、後半はメロディアスに。そんな展開。

 

"В Океане Твоих Слез" - At Ocean Of Your Tears

サビで若干エモくなるものの、全体的にはメロデス的サウンド。テンポの落ちるパートもブレイクダウンとは呼べないものだし、エンディングにはメロディアスなギターソロも搭載されている。

 

"Картины Внутри Тебя" - Pictures Inside Of You

エレクトリカな要素が強く出ているけれどトランスコアほど踏み込んではいなくて、メロディアスなメタルコアの基本は外してないです。後半の展開が少し退屈なのがマイナスポイントではあるけれど。

voはさすがウクライナ語。グロウルもノーマルも、独特の節回しがイイです。

 

ちなみに、彼らの2011年の現在のところ最新楽曲"Tesla"

メロデスっぽさは薄れてよりメタルコアらしく…というか、トランスコア系のサウンドも取り入れていくみたいですね。以前見られた泥臭さは薄れて、かなり今風なモダンさが表現されていると思います。

まぁ、あまりトランスっぽさを前面に押し出すとこのバンドのカラーが失われてしまうと思うけど。

 

今東欧で最も知名度が高いと思われるのはFail Emotionsかな。デビューに漕ぎ着ければ、それに続くポジションは硬い気がするんですけどね。なかなか東欧地域からのデビューは難しそうです…。

まぁ、今はAmazonやiTunesでMP3形式で自主制作盤を販売しているバンドもいますから、そうした形でもいいので是非アルバムを手に入れられるように発売してほしいものです。

 

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