The History Of Saints/Vanisher

アメリカはノースカロライナ出身の4人組メタルコアバンドの2010年リリース1st。
以前はZero Systemと名乗っていたが、1st発表を機にVanisherと改名。BloodjinnからGlass Casketへ移籍したギタリストやGlass Casketのvoも在籍してたりするのでその時点で骨っぽいメタルコアをやってるんだろうな…と想像に難くなく、確かに男臭いゴリゴリのメタルを聞かせたりもするにはするんだが押し一辺倒というわけではなく、BloodjinnやGlass Casketではほとんど見られなかったkeyの導入やクリーンなパートも絡めつつ、そのクリーンなパートが決してポップではないという希有な音楽性であり、全体的に前述のバンドでの音楽性よりもメロディアスで、オーソドックスなメタルというかヨーロピアンメタルなスタイルと言え、そういう意味ではやはり男らしいメタルコアをやってたりする(何言ってんだ、俺)。
…いつもながら分かりづらい説明だったが、簡潔に言うとScar Symmetryタイプのモダン・メロデスをもう少し骨っぽくした感じの音楽性だ(最初からそう言えよ!)。

1曲目の"Born To Breed"がすでに悶死確実!
いきなり突進リフからスタートして、一瞬「Bloodjinnタイプなのか?」と思わせつつ、グロウルと言っていいのか不明な絶叫スタイルなvoが入ると一気にメロデスちっくに変化。メロディがしっかりとしているおかげで全く凶暴性は無いんだが、重めなリフワークでアグレッシブさは十分。そこからサビメロに突入すると、突然クリーンvoが乱入。この声質がメタル系のハイトーンってわけではなくどちらかと言うとハードロック的な感じを醸し出していて、伸びやかなサビメロとピロピロ系のkey、その上この声質でサビは相当爽快だ。
Scar Symmetryあたりがやってもおかしくない曲ではあるんだが、きっとスカシンがやったらサビはもっとポップになっちゃうんだろうなぁ、という感じ。

2曲目の"I Am Failure"なんかは、最初から最後までBloodjinn節炸裂の突進曲。…が、それだけで終わらないのがこのVanisher。もう曲のほとんどはBloodjinnの新曲と言っても過言ではないくらいなのだが、後半にアクセントとして添えられたクリーンvoのパートが意外性のある爽やかなメロディで、これがあるからこそ楽しめる楽曲。

そしてこのアルバム最強のキラーチューンが、5曲目の"Oceans"。
1曲目同様に前身のZero System時代にすでに書かれていた曲で、アルバム中最もクリーンvoの比重が高い曲でもある。グロウルvoのパートだけを取り出したらそれほど印象的でも何でもないんだが(笑)、クリーンvoのパートが素晴らしすぎて名曲確定。
出だしからクリーンvoで始まるんだけど、ポイントはブリッジからサビのクリーンvoパート。イタリアのメロディック・メタルバンドLabyrinthを思い出した。いや冗談でも何でもなく、Labyrinthが気の迷いでメタルコアやって、アクセントにグロウルvoのパートを導入しちゃったんじゃないか、ってくらい。
で、Zero System時代とVanisher時代でちょっと変わっている部分があって、その中でも最大のポイントがギターソロ。ハッキリ言って、新しく書き直された(?)ギターソロの微妙さといったら…。なぜこんな改悪をしてしまったのか?曲の大筋が変わっていないのに、この新しいギターソロは曲の中で浮きまくり。Zero System時代の方が馴染んでた。それと、アルバムラストの曲でもないのに、エンディングが微妙に長過ぎ。

その他、4曲目やら8、10曲目と良曲盛り沢山。
全体的に言えるのは、Glass CasketよりはBloodjinnの血を多く受け継いでいそうで、そのBloodjinnをよりメロディアス…メタル寄りにして、さらにどこかしらヨーロピアンメタルっぽいクリーンvoのパートを導入した感じ。グロウルの声質は予想通りにアレだが、クリーンの声質は想像以上にいい。スクリーモ系にありそうなポップ系の声質ではないし、メタル系のハイトーンでもない。あと、何気にピコピコ系音色のkeyも俺的には好きだ。

もし今後"Oceans"的な曲調を押し進めていくのなら、メタルコア界では無敵な状態になりそうな気がする。それほど"Oceans"は衝撃的な楽曲という事だ。変にBloodjinnやらGlass Casketの色合いを増やさないでもらいたいね。

The History of Saints - Vanisher

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