Tied To The Anchor/Solitude

スウェーデンのメタルコアバンドが2012年にリリースしたデビュー・アルバム。
2011年のEPに続くアルバムで、半分以上が本作に収録されている。
ローカルなインディーズ・レーベルに所属してるわりには期待されてるのかどんな経緯があるのかは不明だが、プロデューサーにFredrik Nordströmを起用、スタジオもFredman Studioを使用している。

メタルコアの中でもメロディック・メタルコアと呼べるサウンドで、同郷のAdeptあたりと比較するとこちらの方がよりメタルコアらしい方法論を実践しているがメロディアス度はAdeptに負けず劣らず。
本人達は「メロディックなサウンドに強靭なブレイクダウン、強力なスクリームとクリーンヴォーカルを合わせた」と言っているが、まぁ大体はその通りの音楽性だろう。メタルコアってそんなもんだけどね(笑
メタルコアらしいリフ主体の音楽性ながらツインギター編成を生かしたメロディアスなフレーズはあちらこちらに散りばめられており、リズム系などがメタルコア系を主張している程度で「メロディが相当に勝ったメタルコア的音楽」という感じだ。メタルコアの中ではAll That Remainsに近い方向性と言えるだろう。
ヴォーカルに関してはスクリームというかデス声にも近いグロウルで、この辺りは欧州メタルコア系バンドに共通するところ。ある意味、強力を超えてブルータルとさえ思える咆哮を放つ場面も見られるし、それがメタルコア/スクリーモ界隈ではゴロゴロ転がってそうな無個性とも言えるハイトーン系クリーンvoを補っているように思う。ちなみに、グロウルは専任ヴォーカリストで、クリーンはギタリストが兼任している。
スクリームパートも同系統の中ではかなりメロディアスと言えるが、クリーンvoパートのエモさは相当なもので、その部分を切り出して聴いてみるとスクリーモかと勘違いしてしまいそうなサウンドが特徴的だ。
楽曲的には疾走曲を中心に構成しているので非常に聴きやすいアルバムだと思う。
ただ本人達の言う事にウソが混じっているのだが、「強靭なブレイクダウン」なんてものは楽曲内のどこにも見当たらず、その激しい落差を期待して聴いてしまうと大きく肩を透かされるので注意が必要だ。

 

Ricochet
昨年のEPにも収録されていたスクリーモっぽい曲。クリーンvo比率激高でスクリームはバッキング程度。ひたすらメロディアスさを追求した楽曲だね。これ、スクリーム不要だと思うんだけどなぁ。

 

All Eyes On Me
メロディアスなのはもちろんだが、スクリームヴォーカルがアグレッシブで疾走度も高いのでメロディアスなメタルコアが堪能出来る。強烈ではないがブレイクダウンも効果的に使われてるのは嬉しいポイント。

 

メタルコア的な方法論を用いながらもメタルコア臭がそれほど強くないサウンドで、All That RemainsやIt Dies Todayなどのようにメタルコアの枠組みの中だけでは語れない不思議な魅力を持つバンドだ。
前年のEPが相当にハイクオリティだったためにデビューアルバム収録曲の中でもEP収録曲が飛び抜けて良いという状態なのは、今後の成長力という部分では若干の不安が残る。ただメロディセンスの悪いバンドではないので、メロディック・メタルコアの路線を守ってこのまま邁進していけば成功しそうな気はする。
ただ、日本での販路がiTunesは分かるとして他がmoraのみというのは意味不明すぎる…

 

Tied to the Anchor - Solitude

現在ヘビロテ中!

Twitteやってます!