Incomparable/Dead By April

スウェーデン出身のメタルコア/エクストリームメタル・バンドの2011年発表2nd。

voのJimmie Strimellは一時期デスラッシュ・バンドのNightrageに参加していたが、すぐに「音楽性の相違」により脱退。いや、このバンドのような音楽性を目指していたのなら、「初めっから分かってただろ!(笑)」と声を大にして言いたいところだがな。

 

音楽性については、エクストリームなメタルとポップスの究極合体。エクストリームな面で言えば、デスラッシュ的であったり、メロデス的であったり、王道メタルコア的あったりして、それらをひっくるめて「エクストリーム」と表現する他ない。voはグロウルとクリーンの両立。

ポップな面では、基本的には北欧的な叙情性を持ったメランコリックな雰囲気が大部分ではあるものの、エレクトリカな感じやダンサブルな面もあったりと多彩。

こういった相反する要素を融合するのは古くから北欧メロデス勢が行っていたことで目新しくも何ともないのだが、アルバム単位で見るとありとあらゆる要素が混在していて「とにかくやりたいことを全て詰め込みました!」という分かりやすい主張を感じる。

 

まぁね、ポップな面はよりポップに、ハードな面はよりハードに…なんて謳い文句のバンドは山ほどいるわけで。それが成功しているのは、それこそ一握りのバンドだけ。それをここまでやりきった上で見事に完成させてしまうのがDead By Aprilの凄いところ。

そんなわけで、メタルコアを土台としているが方向性を固定するのは難しかった。そう、1st時点ではいろいろ方向性を持ったゴッタ煮バンドだった。自分的にはその1stではErasedが最強で、Angels Of ClarityとかStrongerとか、激しさの中に時折のメランコリーを持った曲が好きだった。

で、この2nd。まぁ、事前にいくつかの楽曲を耳にしていたので個人的にイヤ~な予感はしていたが、その予感は的中。1stで言えば、Loosing YouやFalling Behindの路線に進むことを決心したようだ。まぁ、1stでもErasedみたいな曲はどちらかというと路線の外れた曲だったわけで、Sorry For EverythingやWhat Can I Say、Promise Me、A Promiseといった曲が主流で、そちら方向に進むのは必然だったのだろう。そうした路線だというのは、アルバムの導入である1・2曲目が如実に表している。前作の1・2曲目とは大きな違いだ。

 

3曲目のWithin My Heartは、このアルバムを象徴する楽曲。

まさに前作で言うところの、Losing YouやFalling Behindの血を引いているように思う。この曲が好きになれないようなら、ほとんどの曲はダメであろうというレベル。

 

が、ちょっと待ってほしい。

前言を撤回するつもりはないのだが、よくよく聴いてみると1stと大きく路線が違っているわけではないし、Erasedに匹敵する良曲が無いわけではないのだ。

 

4曲目のMore Than Yesterdayはその筆頭。激しさとメランコリーが共存し、グロウルとクリーンのvoが掛け合う形で進行。サビのクリーンvoパートのメロディはすごく覚えやすいので、けっこういつまでも頭から離れない。

 

When You Wake Upなんかはダンサブルな部分とメランコリーな部分が同居していい感じ。メタルコアで「キレイ」と言える曲も珍しい。後半のLostは激しいパートとクリーンvoのパートの落差が激しくて良い。もちろんWithin My Heartは悪い曲ではないし、一般レベルで言えば大変な良曲だと思う。ただDead By Aprilに対する個人的な思いはその方向ではないだけ。だから、Within My Heartは好きだし、Two Facedももちろん大好き。Too Lateも。

 

1stは掛け値なしの名盤だった。

1stの1曲目・2曲目はそれぞれTrappedとAngels Of Clarityだった。1曲目はポップ感を前面に押し出した楽曲であったのに対して、2曲目はメタルっぽさとポップ感を同居させたDBA節全開といった楽曲。アルバム全体のおもちゃ箱的な方向性を表現していたと思う。

対して本作。

1曲目のDreamingと2曲目のReal & True。なぜこの曲をアルバムの冒頭に配置したのか?そう、今作中で最も地味であろう楽曲なのに(笑。やっぱり、アルバムのリーダートラックというのは大事だと思うよ。それで一気にアルバム全体のイメージが植えつけられるから。

どうせなら、Within My Heartを1曲目に配置するべきではなかったか?

 

こうしたレビューになってしまうのも、Dead By Aprilというバンドが一筋縄でいかない素晴らしい楽曲を生み出すバンドであるという功罪なのだが…。

 

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