Burning The Bridge To Nowhere/Odium

カナダのメロディック・デスメタルバンド、2012年リリース2ndアルバム。
1stアルバム"At The Bottom"は2009年リリースなので、約3年ぶりの新作となる。

音楽性は前作の完全な延長線上にあるもので、モダンでドラマチックなメロディック・デスメタル。
アグレッシブに疾走するパート、ヘヴィなリフを伴ったミドルに落とすパート、メランコリックなメロディを大量に放射するクリーンvoのパートが渾然一体となった愛すべき作風は本作でも変えてはいない。
ただ、本作では前作で見られた耽美的要素を若干減らした上で、アグレッシブな要素を増強したように見える。疾走パートの比率は明らかに前作より大きいし、リフワークを見ても前作よりも硬質で重めなものへ変化している。一聴して、よりメロディック・デスメタルを主張する要素が強くなったと感じる。
リズム系もリフワークも攻撃性がある上アグレッシブで、モダンな音楽性ではあるがメロディック・デスメタルとしては更に強力となった。ただそれで前作のようなメランコリック・メロディが減退したかというとそうでもなく。前作で見られたゴシック的雰囲気はクリーンvoを使ったサビメロに息づいており、アグレッシブなデス声パートとメロウなノーマルvoパートは強烈な落差をもって襲ってくる。前作でメランコリックさが完全に勝っていた音楽性が、本作では激しいパートと緩やかなパートとの距離感をより明確にしてその対比を聴かせるという風に変わったとも言えるだろう。そうであればこの変化は非常に成功していると感じる。

 

Within The Distraction
スクリームパートはヘヴィな曲調で攻めながら、クリーンvoパートではメロウに落とすというバンドの持ち味がしっかりと発揮されていますね。後半のノリノリに弾きまくってるギターソロが良い感じ。

 

Identity Of The Doomed
ドラマチックな楽曲ですね。スクリームパートはブルータルでメロブラ的な禍々しさも感じるけど、中盤あたりのクリーンvoパートからはメランコリックに展開。強弱の付け方が上手いばんどだな、と思う。

前作ではそれほど感じなかったmyGRAINっぽさもアグレッシブさが増量されたことで強く想起されることとなったが、このバンドのキモであるメランコリックなサビパートが健在であることでOdiumとしてのサウンドは完全に維持出来ている。ドラマチックな展開が相変わらずだったのも喜ぶべき要素だ。
ただ、耽美さがほとんど無くなってしまって、前作での"Serenity's End"的なキラーチューンは見当たらないのがツライところ。個人的にはそうしたメロディック・デスメタルを望んでいたので…
総合的には前作と同じかソレ以上の良盤なので贅沢とも言える悩みではあるけど。

 

Burning the Bridges to Nowhere - Odium

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