Restart Your Mind/Laments Of Silence

スペインのメロディック・デスメタルバンドが2010年に発売した1stアルバム。

ググってみたところ、ものの見事に日本語でこのバンドについて語ったサイトを見つけることが出来ず、「マイナーでありながらクオリティが高いアルバムを紹介する」という当サイトのポリシーに完璧な形で合致している。おそらくマイナーなのは日本だけではなく世界中でもなのだろうということは、Last.fmの再生回数が2012年5月後半現在で約3万8千回(2138リスナー)ほどしかないという数字でも現れている。

 

基本的な音楽性はモダン・メロディック・デスメタルの範疇にあると言っていい。ただ、モダン・メロデスとは言ってもSonic SyndicateやScar Symmetryのようなデス声フューチャー型メロディック・メタルではなく、若干インダストリアル系の血が混じったメロデスタイプ。Code For SilenceとかFear Of Dominationに方向性は近い。本人達もFacebookで、Industrial Melodic Death Metalを自称しているくらいなので。

他のインダストリアル系メロデス勢と差をつけているポイントは、ゴシック系の血も混じっているのではないかとさえ思える程の楽曲全体を支配する圧倒的な叙情性にある。シンセを多用している上、それを前面に押し出しているのは正にインダストリアルといった感じだが、いかにも電子音といったシンセのサウンドを使いつつも、耽美的な音色も同時に楽曲内に混在させるという荒業でゴシック性を醸しだしている。

ツインギター編成で効果的かつ時に魅力的なリフワークを見せながらも、両ギター共にダウンチューニング系で主張が激しくないので、何故かノイズ的なサウンドに聴こえたりするのもインダストリアル的(?)。

voは中高音域を使ったスクリームタイプの声質をメインに、低音の吐き捨て型デスヴォイスも使う。ただ、低音の方は別のメンバーが担当しているかもしれない。また、一本調子系のクリーンvoも使われているが、こちらはおそらくギターのIsaacという人が兼任しているのだろう。クリーンの比重はかなり低い。

 

タイトルトラックの"Restart Your Mind"

アルバム中でもアグレッシブに疾走してる部類に入る楽曲。アトモスフィックなシンセが全編で鳴り響いていてカッコイイです。あまりインダストリアル的ではなく、普通にモダン・メロデスと言っていいと思う。
特にイントロから本編への流れで鳥肌立った。

 

"Paper Dolls"
アルバム中で最もインダストリアル系の色合いとアグレッシブさを前面に押し出した楽曲。インダストリアルと言ってもシンセの使い方がその方向なだけで、全体的にいったらモダン・メロデスの域は外していない。
サビの作りこみが一番ハッキリしている曲でもあるので、メロデス好きでも楽しめると思う。

 

本編ラストの"Holy Faces"
ミドルテンポで淡々と進む楽曲だけど、ゴシック的というか叙情性あるれる雰囲気が好き。シンセの内、前面に出ているのは耽美的なシンフォニックなもの。そのバックで一部場違いな電子音が導入されている。

 

前述したCode For SilenceやFear Of Dominationのインダストリアル・デスにゴシック的な雰囲気が混じった音楽性なので、そうしたバンドが好きなら安心の高品質盤。もちろん、一般的なモダン・メロデスファンやゴシック/デス系(ただし、ノリノリ系ゴシック/デス系)のファンにもオススメできるアルバムだ。
無名のまま放っておくにはあまりにも惜しいバンドなので、是非みんなに聴いてほしいです。

 

Restart your Mind - Laments of Silence

現在ヘビロテ中!

Twitteやってます!