Domain.nation/Instant Suppression

ロシアのプログレッシブ/メロディック・デスメタルバンドが2009年に発表した1stフル。

アルバム自体は自主制作盤でレーベルとの契約は無く、アマチュアと言っていい状態。

音源は公式的にフリーで配布しています。

1曲2曲とかではなく、アルバム全曲をドカンと太っ腹に公開しています!

DLはこちら → Last.fm - Instant Suppression

 

もはや自分の中では北欧の次にアツイ地域である東欧。その中心でもあるロシアは、ウクライナやハンガリーと並んでメタル先進国と言っていいほどのクオリティを持つバンドが多い。ただ東欧という地域柄かレーベルとの契約を持つバンドはごく一部で、ほとんどのバンドはアマチュアレベルの活動となっている。

すでに解散してしまったが、ハンガリーにはBridge To Solaceという良質なハードコアバンドが存在したし、にわかに注目を浴びているロシアのトランスコアバンドFail Emotionsとか、ウクライナのメタルコアバンドPicture Inside Meなんかは個人的に注目している超ハイクオリティバンドだったりする。

 

で、今回のInstant Suppression

知ったのはつい最近なのだが、これが実にハイレベルなメロディック・デスメタルバンド。

音楽性で言えばモダンメロデスの範疇にあるが、スウェーデン系のメロディック・デスメタル的な強靭なリフと叙情的なメロディをベースとして、あくまでもメロディック・デスメタルの領域を外れない程度にモダンさを注入、そこにEvergreyを彷彿とさせるような難解にならない程度の変拍子や転調を盛り込んでいる。

ギターはハッキリ言ってクサメロ発射装置と化してます。今やスウェーデンでもこれだけクサいメロディを使いまくってるバンドはそうそういません。個人的には大歓迎な状態なんですけどね。

シンセの大活躍度もハンパなく、基本はサイバー/トランスメタル系のサウンドを操るので、ギターの叙情メロディとのアンバランスさを狙っているのかもしれない。時折シンフォニックに走ったりもする。

デス声はオーソドックスな低音の吐き捨て型。個人的には好きな声質ですね。一部の曲ではクリーンvoも使っているが、これはシンセ奏者の声みたいですね。デス声担当はGも兼任しています。

女性コーラスも取り入れて耽美な雰囲気を取り入れているのもアクセントになっている。

 

アルバム中でも最も良かったと思えたのは"Inner Entropy"

イントロからノリの良いリフで惹きつけておいて…なのだが、そのイントロのメロディが二転三転。こういう多段階で攻めてくるようなイントロは大好きです。その語はAメロのデス声パートで落としておいて、Bメロはいきなりクリーンvoでパワメタ節炸裂! サビはブラストビートなのもビックリ展開。

 

ミドルの"Lost In Light"も印象的な楽曲

耽美的な楽曲かと思いきや、インダストリアル的なシンセとリフが登場。で、本編は女性voでスタート。デス声はバッキングに回ってますね。サビは男クリーンvoで、これが実にいいメロディを持っています。

ノリノリ系ゴシックメタルと言っていいかもしれない良曲。

 

バンドの方向性を良く表した"Shapeless Threat"

イントロはノリノリなんだけど、そこからは起伏の激しい展開が待っています。

若干の変拍子と変則リフを盛り込んだ構成なのだが、サビメロは一気に叙情的に展開。

 

何に近いかと言えば、迷わずEvergreyと答えるしかないサウンド。あの系統のサウンドにサイバー/トランス系のkeyを乗せたらこうなるかな、って感じ。なのでプログレッシブ的といってもクドさやテクニックを鼻にかけた部分はあまり感じられないので、普通のメロデスファンにも十分に受け入れられるサウンドだろう。

Evergreyタイプという、立ち位置的にも独特なポジションにあるバンドだと思う。

これだけのバンドがアマチュアレベルの活躍しかできないのは、やはり東欧という地域の厳しさを感じてしまうと共に悲しいなと思う。ただ現在はiTunesやAmazonでのMP3販売という、昔のCD販売と違ったルートがあるので、こうした良質なバンドはそちらの方で活路を見出してほしいですね。

 

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