Survivalism Boulevard/The Stranded

イタリアのモダン・メロディック・デスメタルバンドの2012年リリース1st。

Disarmonia MundiのEttore Rigotti&Claudio Ravinaleと、Alessio Neroargentoというスタジオ系ミュージシャンの方、そしてプロスケートボーダーのElliot Sloanという一風変わったメンバーのバンド。

 

Disarmonia Mundiではメンバー集めを諦めたかのごとく全楽器を操っていたEttore Rigottiも、このバンドではとりあえずクリーンvoとギターを担当し、もう一本のギター&ベースをプロスケートボーダーが、keyはソロミュージシャンを起用。デスヴォーカルについてはDisarmonia Mundiの盟友Claudio Ravinaleが担当。ホント、エットーレってクラウディオくんが大好きだよねー。確かにいいデス声してるんだけどさ。

そういったメンバーでやってる音楽性と言えば、モダン・メロディック・デスメタル。

本体のDisarmonia Mundiがどんどんモダン化している上、メンバー自体も固定化されているわけじゃないので、新メンバーで本体の新作を作ったことにするとかでいいんじゃない?と、わざわざ別バンドを名乗ってメロデスやる必要があるのか疑問だったわけだが、聴いてみて納得。新バンドでヨシ!という内容だった。

まず、本体と比べてメロデス度はかなり薄い。モダンとかいうより、とにかく軽め。今風メロデスな路線と言ってもいいので、同郷・同レーベルのRise To Fallが近いイメージ。その路線にモダンさとクリーンvoを増やしてみました、という感じだ。軽めなサウンドの分、メロディアス度は本体より上かもしれない。

本体よりテンションも控えめなので、よりメロディック・メタルに近いメロデスとも言える。

楽曲の出来具合に関しては安心・安定のエットーレクオリティ。やはり天才だと思う。ヴォーカルメロディやギターリフの作り込みはエットーレらしさが良く出ていると思う。keyの音色は本体では使いそうにないタイプだし、それが強めに出ているのは本体との差別ポイントかな。俺的には微妙な感じもするけど。

あと、ギターの主張も強めだな、と思う。エットーレとスケートボーダーのどちらがリードなのかは分からないけど、恐らくスケートボーダーなんじゃないかな。ギターソロも含めて、本体とは明らかに違う感じで弾きまくってるので。逆に、リズムギターの方は音色もリフワークも本体の方向性に近い気がする。

 

"Blood Like Gasoline"

曲のテンションもメロディもリフワークも本体に近い…かと思いきや、途中で落とすパートを儲けちゃったりしたのは欧州型メタルコアの影響を受けているように感じる。あと、別に大活躍してるわけじゃないのにkeyがその音色のせいで変に目立つ。エットーレのクリーンvoって、こんな微妙な声だったっけかなぁ。

 

"Ill Will Future"

これも、変にkeyが音色のせいで目立つんだけど。

リフワークはモロに本体系だけど、メロディに関してはモダンさが強く出ている。クリーンvoが入ると印象が大きく変わった気はするけど、ヴォーカルメロディはエットーレらしいな、という感じがするね。

 

"Eclipse"

アルバム中で一番メロデスしてるのがこれ。だから本体色がすごく強い。

この曲を聴くと、リフがエットーレでピロってるリードがスケートボーダーなんだろうな、と感じる。アグレッシブだし、落とすパートの繋ぎもけっこう良い感じ。変にkeyが目立っていないのも好きだ。

 

Disarmonia Mundiを思い浮かべて手を出すとガッカリする人が出るかもしれない。

決して悪いアルバムじゃないし、一般的に聴いたらかなり高品質なアルバムだと思う。ただ、エットーレが携わっているということで、本体を想起しない人はいないと思うんだよね。そうした時に、微妙な音色を操るkeyと変にピロってエモーショナルなプレイに走ろうとするギターがネックになりそうな感じだ。

この際、エットーレを忘れてアルバムを聴くのが吉。

 

そんなことより、Disarmonia Mundiをどうにかしろよ!

 

Survivalism Boulevard - The Stranded

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